2011年9月17日土曜日

ゲンノショウコとコマルノミハムシ -2011/09/13東北大金研

仙台市青葉区片平にある、東北大学片平キャンパス。
このキャンパスは大きく3つのブロックに分かれているのですが、ここはそのうちの一つ、東北大学金属材料研究所(通称金研)の敷地内です。

金研の南西隅のエリアは、駐車場になっています。その縁は南側がシャガやアジサイが植えられた土手、西側がオオイヌノフグリやニラ、カタバミなど自生の雑草たちが小さな花を咲かせるエリアです。そしてこれらはぐるりと低い石垣で囲まれていて、これがかつての大名屋敷の名残だといいます。

そんな金研、駐車場脇の草むらに、ゲンノショウコの花がたくさん咲いていました。
こちらは珍しい紅紫色ではなく、このあたりでは普通に見られる白紫色の花ですが。

いっぱい咲いていて、どれを撮ろうか迷っていると、なにやらいびつな形をした花を発見。しかもその上には何か黒くて丸いものが・・・

E-420, P9137081
OLYMPUS E-420
OLYMPUS OM ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8
reverse
F1.8開放, 1/320sec (+0.3EV), ISO200

花びらの一枚一枚の両脇がかじられてスリムになっています。犯人はどうやらこの丸くて黒い虫。とてもつやつやしているきれいな虫です。

トリミングしてみますと、

1024x768枠でトリミング後600x450にリサイズ

後ろ脚がとても太いです。背中はつやつやしすぎて、よく見ると私の姿が映っています。
FotoPusの虫コミュで尋ねてみると、すぐ名前を教えてもらいました。「ルリマルノミハムシ」とのこと。
ルリは瑠璃色ということでしょう。でもどう見ても真っ黒にしか見えませんが・・・
マルノミは丸蚤、つまり丸くてノミのように跳ねる・・・後ろ脚はただ無駄に太いだけではなくて、ものすごい跳躍力を生み出す強靱な脚だったのです。
ハムシは葉虫ということでしょう。

でも、調べてみるとルリマルノミハムシとよく似たハムシに「コマルノミハムシ」というのがいるそうで、その違いは「脚の色」なのだとか。
脚が黒いのがルリマルノミハムシ、褐色なのがコマルノミハムシ・・・うーん、この写真を見るとこのハムシ、脚は褐色のようです。ということはコマルノミハムシが正解でしょうか。

このあたりのエピソードは、別のブログ(ココログ、Shino-G備忘録)にも記事を載せていますのでよろしかったらどうぞ。
ココログ記事「【虫備忘録】ルリマルノミハムシ」
ココログ記事「【虫備忘録】コマルノミハムシ??」

それにしても、昔の人はよくこんな些細な違いを見分けたものですね。
感心してしまいます。

しかしなぜ、コマルノミハムシは花粉を食べずに花びらを?
そちらも謎です。

花びらをかじられてもけなげに花を咲かせるゲンノショウコ。うまく受粉していい実ができるといいですね。

E-420, P9137082
reverse
F1.8開放, 1/320sec, ISO200

2011年9月15日木曜日

赤いゲンノショウコの花 -2011/09/13東北大片平キャンパス

東北大学片平キャンパスの、生命科学研究科裏にあるゴミ捨て場。そこは様々な花が季節を問わず咲いている穴場です。

ここで、赤いゲンノショウコの花を見つけました。
ゲンノショウコといえば、若干ピンクが入りますが白いというのが定番(私の中で)でした。赤い花があることは知っていましたが、いままで見たことがなかったので、とても感動しました。

E-420にOM 50mm F1.8レンズをつけ、OMエクステンションチューブの7mmと25mmを持ってきていましたので、まずは7mmをつけて撮ってみました。

E-420, P9137038
OLYMPUS E-420
OLYMPUS OM ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8
OM EXTENSION TUBE 7mm
F1.8開放, 1/1000sec (+0.3EV), ISO200

たいへんいい感じに撮れました。
どうも、ゲンノショウコの花は常に2つペアになっているようです。
まだ片一方はつぼみです。

続いて、25mmのチューブで。

E-420, P9137044
OM EXTENSION TUBE 25mm
F1.8開放, 1/1000sec (+0.3EV), ISO200

すこぶるいい写りです。
かなりやわらかめな描写になっていますね。

おそらく、同じシチュエーションでRICOH XR RIKENON 50mm F2を使ったら、全く違った雰囲気になるでしょう。

~~~
この日のゲンノショウコについては、shinodak-photostockブログのこちらの記事でも扱っています。よろしかったらどうぞ。

2011年9月7日水曜日

内蔵フラッシュ使用上の注意 -2011/09/06片平にて

OLYMPUS E-420ボディにRICOH XR RIKENON 50mm F2(F2Lではありません)の組合せで出かけた今日のお昼のサイクリング。
・・・サイクリング、とはいっても今回の舞台は東北大学片平キャンパス、金研の低温研と片平会館、そして放送大学宮城学習センターに囲まれた、旧東北帝国大学理学部生物学標本園です。
センニンソウをたくさん撮りましたが、その近くでハエドクソウを撮ったりしていた折にふと見つけた虫。
名前はわからないのですが、ごつごつして面白い形の虫です。じっとしてほとんど動きません。

【後日追記】
この虫、あとで教えて頂いたところによると、「クサギカメムシの幼虫」とのことです。成虫になればりっぱな羽根が生えるのですが、幼虫のときは鎧のような重々しい腹をみせています。

ちょうどレンズを逆付けしていたので、そのままレンズを向けます。
ちょっと薄暗いところにいたので、絞りF4でもブレてしまいました。そこで、さらにF8まで絞り内蔵フラッシュを焚いてみることに。

E-420, P9066731

すると、あら?下の方が影に・・・?
実は、逆付けしたレンズのマウントには、接写リングが2個(28.5mm + 9.5mm)ついていたのでした。
外してしまうと置き場所に困るので、たいていは「フード代わりにもなるし」と、つけたまま撮影続行してしまうのですが、今回は大失敗でした。

リングを外し、あらためて。

E-420, P9066732

こんどはばっちり。
フラッシュの光量はいつもたいてい1/64に絞るのですが、それではISO400にしてもちょっと暗くなってしまうので、この写真では1/16まで光量アップ。
少々コントラストが強くなりすぎた感がありますね。ディフューザーを使えばよいのでしょうが、お昼のお散歩ではそこまでしません。ちょっと残念です。

でも、その強い光のおかげかどうか、よく見ると

600x450枠トリミング

目のプツプツがはっきりと!そのほかの模様もディテールがクッキリ出ています。すごい。

しかし、内蔵フラッシュを焚いて接近するときは、レンズの前に何もつけないほうがよさそうです。

2011年9月6日火曜日

やっぱり初代RIKENON 50mm F2はすごかった -2011/09/06片平のセンニンソウ

最近、RICOH XR RIKENON 50mm F2Lをもってお昼のお散歩に出る機会が増えました。
逆付けしたり接写リングをつけたりしてクローズアップ撮影するのですが、ふとF2(初代)とF2L(二代目)との写りの違いが確かめたくなり、この日は久しぶりに、この春オークションで手に入れた初代RIKENON 50mm F2レンズを引っ張り出してきました。

レンズ光学系が同じで、プラスチック化の恩恵で非常に軽量なF2Lをつい贔屓にしてしまいます。でも、前からひっかかっていた「最短撮影距離の違い」。
もしかしたら近距離での撮影で写りに差が出るのでは?という疑惑がもちあがってきました。
それは、このXR RIKENON 50mm F2というレンズについて整理してまとめたブログ記事(公開した記事はこちら)を書こうと思ったときに、いろいろと調べているうちに出てきたものです。

これまで、絞りリングの動作が軽やかではなくかなりカタいこともあり、「F2Lと違いはないだろう」と、この“元祖”和製ズミクロン、XR RIKENON 50mm F2をわざわざ持ち出すこともあまりありませんでした。
きちんと比較したわけではありませんでしたが、写りもそれほど違いがないように見えたという経験も影響しています。

でも、一度きっちり確かめてみよう・・・そしてついに、先日RIKENON F2Lで、そしてOM 50mm F1.8レンズでも臨んだセンニンソウの花で試すことにしました。

「XR RIKENON 50mm F2Lでセンニンソウ」の記事:その1その2
「OM ZUIKO 50mm F1.8でセンニンソウ」の記事:こちら

まずは、かるくウォーミングアップから。
ノーマルで木の幹に絡みつくセンニンソウの蔓と花を撮ってみることに。
一応、F2Lの最短撮影距離を考慮して、60センチと最短の45センチの距離にピントリングを合わせて撮ってみます。

60センチでの写真
E-420, P9066656
F2開放, 1/640sec (-0.3EV), ISO400

花の部分を等倍に切り取ってみます。


柔らかい中にもシャープさがあります。
F2Lと同等の撮影距離ですので、先日撮った写真から花の部分を抜き出して比べてみましょう。

E-420, P8306346
これは、8月30日に撮影したもので、そのときの記事に載せた2枚目の写真から抜き出しました。
このときは、絞りF4でしか撮ってませんでしたのでこれら2枚を単純に比較することはできません。
そこで、F4で撮ったもの同士を比べることにします。

E-420, P9066655
F4, 1/200sec (-0.3EV), ISO400

実はこの写真では、この花に対して若干前ピンになっているのでベストではないですが、上のF2で撮った写真と比べると、周囲の合焦のしかたがよりシャープになっていることがわかると思います。

そして、F2Lレンズで撮った写真と比べてみたときには写りそのものに大きな差は認められないと思います。ではやはり、F2もF2Lも光学系が同じなのだから写りも同じか・・・

次は、レンズ設計時には想定されていなかったと思われる「接写リング」使用のクローズアップです。PENTAX K接写リングのNo.3(長さ28.5mm)を入れて、まずはレンズのピントリングを無限遠(もっとも引っ込めた状態)にして撮ってみました。

E-420, P9066703
F2開放, 1/800sec (-0.3EV), ISO400

絞り開放ですが、滲みも少なく合焦位置のシャープネスもF2Lより高いような気がします。でもよく見ると、若干前ピンで、右手前に伸びる萼片の先端部付近にピントが来ていることがわかります。それでも花の真ん中のしべの写りがここまで来ているということは、やはりF2Lと写りに差があることを示しているのではないでしょうか。
ここでピントリングを繰り出して、最短撮影距離に相当する位置まで持ってきたときを試してみます。10ミリ程度繰り出されました。

E-420, P9066706
F2開放, 1/500sec (-0.3EV), ISO400

若干アップになりました。こんどはきちんとしべにピントが来たようです。びっくりしたのは、絞り開放であるにもかかわらず、かなり解像感が高いことです。
これがF4まで絞ると・・・

E-420, P9066714
F4, 1/160sec (-0.3EV), ISO400

本当にすばらしい画像になります。しかも、ボケが素直です。
やはり、F2とF2Lの違いはクローズアップ撮影で顕著に(少なくとも私の目では)見えました。これはますます絞りリングの具合を直して、万全の状態でもっと活躍させてやりたくなりますね。

最後に、今日一番のお気に入り写真を披露いたします。
E-420, P9066690
逆付け
F2開放, 1/1600sec (-0.3EV), ISO400

左上に葉が被さっていて、左からの日光が遮られて少し陰っている奥の花と、日光を受けている手前のつぼみです。
絞りを開放にしているにも関わらず、ぼやけた感じにならずにしべのひとつひとつがくっきりと見えています。これには驚きました。

2011年9月4日日曜日

ニラの花と虫たち -2011/09/03(土)

先の記事のつづきです。
花期がまだ序盤のようで、つぼみもたくさんありました。
そんな中のひとつにアブがやってきてとまりました。

E-420, P9036599
OLYMPUS E-420
RICOH XR RIKENON 50mm F2L
PENTAX K接写リング No.1 (9.5mm)使用
F2開放, 1/500sec (+0.7EV), ISO400

花が咲いていないのに、どうするつもりなのか?

E-420, P9036600
PENTAX K接写リング No.1 (9.5mm)使用
F2開放, 1/500sec (+0.7EV), ISO400
(2536x1902枠でトリミング)

ただ一休みしているだけのようですね。

E-420, P9036603
PENTAX K接写リング No.1+3 (9.5+28.5=38mm)使用
F2開放, 1/400sec (+0.7EV), ISO400

接写リングを継ぎ足して38mmにまですると、けっこうアップで撮ることができます。
しっかりつかまって、においをかいでいるようにも見えます。
(虫に「ニラのにおい」がわかるのでしょうか?しかし、もしにおいを嗅ぐのだったら触覚を使うはず?)
でもやはり、ただ一休みしているだけなのでしょう。

開いた花には、ハチがやってきました。

E-420, P9036606
PENTAX K接写リング No.1+3 (9.5+28.5=38mm)使用
F2開放, 1/1250sec (+0.7EV), ISO400

ハチの目にピントを合わせようとしたのですが、わずかに前ピンとなってしまいました。
でも、そのおかげでしべをつかむ前足がばっちり撮れてます。


1600x1200枠でトリミング
「俺にマイクをよこせ!」とやっているようにも見えます。
とりあえず、持っているしべの先の葯にはピントがばっちり来ています。

ニラの花 -2011/09/03(土)

東北大学金属材料研究所の、片平丁通りに面した一角にはかつての大名屋敷の名残である石垣(最近までそんな由緒ある石垣とは知りませんでしたが)は野草雑草の宝庫。

石垣の石の間には、夏前にはムラサキカタバミやアカカタバミ、ノビルやアブラナ科のタネツケバナが、そして石垣の上の土手にはオオイヌノフグリなどたくさんの花が見られます。
この石垣周辺は、ふだん地面に咲いていて撮影のためには寝転ぶ必要があるような小さな花たちが、ひざの高さから肩の高さという絶好の位置にあるため、とてもいい撮影フィールドなのです。

夏の終わりのこの時期、この石垣が連なる一角でも特に限られたエリアに、ニラの花が咲きます。去年の今頃見つけたのですが、そのときは2,3株がポツリポツリ、という感じでした。

今年は、ずいぶん数を増やしたようです。(生えているエリアはひろがっていないみたいですが)

ニラの花は、一本の茎からたくさんの花がひろがって花火のように咲きます。

E-420, P9036609
OLYMPUS E-420
RICOH XR RIKENON 50mm F2L
PENTAX K接写リング No.1+3 (9.5+28.5=38mm)使用
F2開放, 1/1000sec (+0.7EV), ISO400

この写真では、ちょっとシャッター速度が速くなりすぎかもしれません。ISO感度を落としてノイズを抑える設定にしたほうがよかったかも・・・
でも、+0.7EVのオーバー露出設定にして、白い部分が飛んでしまわない程度にぎりぎりまで光を入れ、あとでRAW現像のときにトーンを落とすようにしています。

こうすると、明るい部分を適正露出にしたときの暗い部分でのノイズによる粒状の荒れが抑えられます。
今回は、ぎりぎり飛んでしまった部分が若干出てしまいましたがまずまずではないでしょうか。

さて、花のほうを見ていただくとわかるように、一株のなかでも花の咲くタイミングはばらばらで、この花のようにまだ咲き始めの場合はよいのですが、時期が進んでくると「つぼみと花と枯れ花(ときにはさらに実も」混在して、花全体としての美しさがいまいちになります。
そんなとき有効なのが、やはり「絞りを開けて不要なものをぼかす、にじませる」ということになるでしょう。

E-420, P9036594
フルサイズ3648x2736を2536x1902枠でトリミングしています。
PENTAX K接写リング No.1 (9.5mm)使用
F2開放, 1/1600sec (+0.7EV), ISO400

ひとつだけこちら側に飛びだしている花にピントを合わせると、ほとんどがピンぼけになりますが全体としてニラの花であることが辛うじてわかる程度のボケ味になっています。

ちょっとだけ残念なのは、ピントを合わせた花があまり美しくなかったことです。

つづいて、そのまま後ろの集団にピントをもっていくと・・・

E-420, P9036596
(同様に2536x1902枠でトリミングしています)

花が束ねられている根元に、黒くて美しくないものが写り込んでしまいます。
肝心の花へのピント自体もかなり甘くて、これはイケてませんね。

今年はたくさん花があるし、花期もまだこれからという感じなので、もうしばらく楽しめそうです。

ヒナタイノコズチとツバメシジミ -2011/09/03東北大学片平キャンパス

台風が四国に上陸した今日は、なんだか風もぬるく、ときどき強く吹いたりして、はるか1000km離れているとはいえ、仙台までその影響が届いていると感じる一日でした。

雨は思ったより降らず、ときどき晴れ間が見えたりしていました。

昼食後、カメラを持って片平周辺を歩きました。
まずは、東北大学片平キャンパス中央にある本部前広場へ。
真ん中に大きな桜の木があるのですが、その周辺にはヒナタイノコズチがそこにもここにも茂っています。

ヒナタイノコズチは、どこでも当たり前のように生えている雑草です。
花は目立たないのですが、よーく見ると4つの尖ったくちばしのような萼(?)が開いた中から4本のしべを伸ばした花がいくつか咲いているのが見られました。

初めてまじまじとこの花を見たのは、去年の9月21日でした。
そのときの様子は、shinodak-photostockブログの記事に書きましたので、どうぞご覧ください。

ふと見ると、小さなシジミチョウがヒナタイノコズチの花に。

RIKENONレンズを逆付けして、上から見下ろすように近づきます。
絞りをF4にして、「1枚くらいまともな写真が撮れればラッキー」という気持ちで、何枚かシャッターを切りました。そのなかで、なんとか見られるものが2枚撮れました。

E-420, P9036586
OLYMPUS E-420
RICOH XR RIKENON 50mm F2L

確かに口を花の中へ刺し入れています。
この写真は、レンズを逆付けして「ぐぐっ」と接近し撮ったものです。上から見下ろしたアングルです。鱗粉もばっちり!

E-420, P9036592
蝶のボディは、若干前ピン気味ですが、ヒナタイノコズチの花がいい具合にピントが合っています。残念なのは、チョウが口を収めてしまった後のタイミングだったことです。

さて、このチョウの名前は何なのか?
羽の裏の模様しか見えませんが、黒い小さな斑点が比較的粗に振りまかれており、縁にはオレンジの模様と最外縁の黒いフチ取りの線が特徴的です。

調べてみますと、一番可能性が高そうなのは「ツバメシジミ」です。

しばらくファインダー越しに見ていると、口を伸ばして花を突っついたり丸めたり収めたり、そしてまた伸ばしたりと忙しい様子でした。
私はうずまきのように「くるくるっ」と巻いている姿が一番好きなのですが、そのタイミングでピントもばっちり、手ブレもなく撮れたことがありません。
難しいです。

その後、正門からキャンパスを出て道路を北上し、金属材料研究所脇にある武家屋敷の名残を残す石垣の上の茂みを見ると、ここにもヒナタイノコズチがたくさんいます。
しかし、まだ花の時期には早いようで、開いている花はなかなか見つかりません。

そんななか、いくつか花を開き、しかも撮影にちょうどいい場所(これがけっこう重要だったりします)にあるヒナタイノコズチを見つけました。

E-420, P9036616
この写真は、RIKENON単体で絞りはF4という条件で撮りました。
白飛びしない程度にオーバー露出で撮り、あとでRAW現像するときにトーンを落とすとともにコントラストを上げる処理を施してます。

レンズとボディのあいだに、PENTAXのKマウント接写リングNo.3 (28.5mm)を入れて、グッと寄ります。

E-420, P9036619
この写真は絞り開放で撮りましたが、やはりさすがRIKENON!柔らかい中にもシャープさが出ています。

E-420, P9036622
ここではF4まで絞り、内蔵フラッシュを焚いています。光は右側から当たっていますが、向かって左下を向いている花が影になってしまいました。右側を向いている花は光を受けて輝いており、曇り空の自然光だけで撮るよりもメリハリがついています。

おそらく花期はまだまだこれからのようですので、ときどき撮ろうと思います。

2011年9月3日土曜日

こんどはOM 50mmでセンニンソウ -2011/09/01

ここ数日、E-420にRICOH XR RIKENON 50mm F2Lレンズのコンビネーションで出かけることが多かったので、久しぶりにOLYMPUS OM ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8を持ち出して、旧東北帝国大学理学部生物学教室の生物学標本園跡に咲いているセンニンソウを撮りに行きました。

全く同じ条件とはいかないので難しいかもしれませんが、RIKENONレンズとの写りの違いを比較してみたいという興味もありましたので。

現場に到着して、まず見つけたのは、花の上の小さなクモでした。
正面からかなり接近して、パチリ。

E-420, P9016478
OLYMPUS E-420
OLYMPUS OM ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8
OMエクステンションチューブ25mmを使用しています。

6:6の正方形にしたわけは・・・
実は、縦位置で撮ったのですが被写体が上のほうに偏ってしまい、下におおきな空間があいてしまってバランスがわるかったからなのです。

それは、私のE-420ではフォーカシングスクリーンが交換してあるためでした・・・
もともと、E-420のフォーカシングスクリーンはマニュアルフォーカシング(MF)には適していません。ファインダーの明るさを最優先したために、ほとんど素通しに近いものだからです。
そこで、フォーカシングスクリーンを交換することにしたのです。

shinodak-photostockブログで、詳しい経緯に触れていますのでよろしければご参照ください。
2010/07/19「E-420のフォーカシングスクリーンについて」
2010/07/20「とりあえずマグニアイピースで様子見しよう」
2010/07/22「NIKONのフォーカシングスクリーンがいいらしい」
2010/07/23「フォーカシングスクリーンについて~おばかな問い合わせしてみました」
2010/07/25「Katz Eye Opticsのスクリーン注文してしまいました」
2010/08/01「Katzスクリーン到着」

しかし、ピント合わせが楽になった反面、困ったことも・・・

2010/12/06「最近E-420の出番が・・・」

ファインダー内の、真ん中に「どーん」と大きな面積を占める、スプリットマイクロプリズムがどうも良くないのです。
特に、私が好む縦位置の向きでは、スプリットが縦になってしまい、ピント合わせが非常に難しいのです。(少なくとも私にとっては)

周辺のマットスクリーンのほうが、ピントの山がつかみやすく、ピントのヒット率はスプリットマイクロ使用時より格段に高いです。

前置きが長くなってしまいましたが・・・つまり、クモの目にピントを合わせようとしたときに、フレームの端でマットスクリーンを使いそのままシャッターを押した、というのが理由だったのでした。

苦肉の策として、下の余分な空間をカットするために、スクエアトリミングしたということでした。
まあ、フレーミングに関してはある程度妥協するしかないかもしれません。

さて、肝心の写りのほうに注目してみますと、クモの目には幸いばっちりピントが来ました。
・・・でも、なんだかクッキリしない。絞りをF1.8開放にしているということもあるのでしょうが、もしRIKENONを使っていたら、もう少しクモさんの小さく円らなお目々が「プツプツッ」と明瞭に写ってくれるのではないでしょうか。

クモの前後の花のボケ具合も、RIKENONレンズのときとは違ってかなりマイルド、かなりぼんやりになっています。
撮影条件としては、レンズ逆付けの上にOMエクステンションチューブ25mmを使っているので、RIKENON逆付け28.5mm接写リング使用と大差ないはずだと思います。
ということは、もう少し「芯のある」ソフト感を出そうと思ったなら、F2.8に絞るほうが良さそうですね。

F4まで絞ってしまうと、OM ZUIKO AUTO-MACRO F3.5レンズを開放で使ったときと大差なくなってしまいますので、F2.8という絞り設定は(このレンズの特徴を最大限に発揮させるためには)唯一の選択ということになるでしょうか。

それではここで、もう少しこの日撮影した写真を紹介していきたいと思います。

E-420, P9016480
これは、レンズを逆付けせずエクステンションチューブ25mmのみ使用したものです。手前の花にピントを合わせたら、先ほどのクモは霧の向こうに消えていくようにボケています。

ピントを合わせた花は、真ん中のしべの先端を狙ったのですが残念ながら少し後ピンになってしまいました。それにしても浅い被写界深度です。
もし狙い通り、しべの先端にピントを合わせたら、そのほかの部分がもっとボケボケになってしまっていたことでしょう。
やはりこれくらいのクローズアップ撮影では、F1.8開放という条件は少々「行きすぎ」のようですね。
このセンニンソウの花のように、細いしべがツンツンとこちらにむかって突き出しているような被写体ではなく、もう少し平面的でピントの合う面積が広い被写体ならばよいかもしれませんが。

E-420, P9016482
同じ花を、今度は逆付けで撮りました。かなりのソフト感です。
若干ピントを外してしまって、前ピンになっているようですので、逆付け絞り開放が「使えない」と結論づけることはできませんが、やはりF2.8に絞ったほうが良い結果が出ていたかもしれません。
でも、RIKENONレンズとはまたひと味違うムードが出ていると思います。

E-420, P9016492
これはフルコース。
逆付け、かつエクステンションチューブ25mmを使用して、このとき手持ちの機材で実現しうる最高拡大倍率で撮影したものです。
ここではばっちり、しべ先端にピントをもっていくことができました。でも、萼片(4枚の花びらのような部分)は完全にぼやけて、形がわからないほどになっています。
いきなりこの写真を見たら、何の花かわからないかもしれません。

かなりピントは合っているし、シャッター速度(1/800秒)を考えると手ブレもしていないはず・・・ですが、やはりRIKENONのときのような解像やクッキリ感が感じられません。
F2.8に絞れば解消されるかもしれませんが、RIKENONレンズでの「ぽってり」したボケ味と違ってこのOMレンズ特有の素直でさらっとしたボケ味を楽しむのであれば、やはり開放で使うべきでしょうか。
ピント位置からの距離によってボケ具合も変わってくるでしょうから、一概に言えないかもしれませんが。

同じ花でも背景が違えば -2011/08/30旧東北帝国大学理学部生物学教室生物学標本園

東北大学の職員研修所である片平会館の南側に位置する、旧東北帝国大学理学部生物学教室の生物学標本園。
その中にあった大きな木にまとわりつくセンニンソウの蔓。
高みに上を向いて咲く白い花。

E-420, P8306345
OLYMPUS E-420
RICOH XR RIKENON 50mm F2L
この写真は先の記事でも紹介した写真です。

まず最初にこの花が目に止まり、撮影を開始したのでした。

ちなみにこの写真の撮影にあたっては、XR RIKENON 50mm F2Lレンズを「素」で使い、最短撮影距離の60センチでF4に絞っています。
非常にいい写りです。
写真をご覧になればわかるとおり、木の幹に巻き付いた蔓の上に咲いているので、見る角度によって背景が大きく変わってきます。


E-420, P8306346
右に回り込んで撮影すると、写真を構成するパーツの位置関係も変わり、違った雰囲気になります。

ここからいよいよ、レンズを逆付けして接近してみます。
まずは木の幹を真後ろに置いて、上から覗き込んでみます。

E-420, P8306350

暗いトーンの背景に、白い花が映えます。
真上から見下ろしているので、絞りをF2開放にしていても4枚の萼片(花びら(花弁)のように見えますが花びらではないそうです)がどれも同じ程度のボケ具合になっています。

センニンソウの花の特徴は、この4枚の萼片と、比較的短い花糸(萼片より「はるかに」短いとされていますが、この花に関してはそんなに短くはないです)です。
よく似ているボタンヅルのほうは、花全体がセンニンソウより小振りで、花糸が長いというのが特徴だそうですが、やはり花を見ただけでは違いがわかりにくいです。
葉を見れば一目瞭然で、センニンソウは葉の縁が滑らか、対してボタンヅルはのこぎりのようなギザギザの切れ込みが入るという点が異なります。

つづいて、少し左に回り込んで視点を下げてみます。

E-420, P8306353
背景の左側、黒っぽいのは木の幹。右の明るい背景は地面です。
全体的に背景が明るくなって、雰囲気が変わりました。
花をやや横から見る形になって、ピントの合い方・ボケ方がさきほどの上から見下ろした場合と違ってきます。

上から見下ろすと、一番手前に突き出した花の中心にピントを合わせれば、同心円状に花の外側に向かってポケていきます。
しかし横から見るアングルでは、ピントを合わせた位置を中心似前後方向のボケとなります。

少し背景が明るすぎたかもしれません。次にはもう少し視点を右に回して、木の幹の暗い部分の割合を増やしてみました。

E-420, P8306357
視点の高さもさらに下げましたので、花の下にいるつぼみまでの距離が花と近くなり、ピントが合ってきてよりはっきりしています。ちょうどつぼみの背景が明るい部分になっているので、脇役のはずが少し強調されすぎてしまったかもしれません。

ここまでは、花の全体像をフレーム一杯に入れる構図でした。
つづいては、レンズを逆付けした上に接写リング(PENTAX製のKマウント接写リング。No.1 (9mm)、No.2 (19.5mm)そしてNo.3 (28.5mm)という厚みの違う3種類がセット)のNo.3をつけ、花の中心部をアップで狙います。

E-420, P8306369
絞りをF8まで絞り、内蔵フラッシュを焚きました。光は右から当たっています。
コントラストがつきすぎて不自然にならないように、フラッシュの光量を1/64に落とし、ISO感度を100まで下げました。すると、背景は真っ暗になります。なんだか屋内で撮影したような感じになってしまいました。

つぼみも撮ってみました。
E-420, P8306371
E-420, P8306374
いずれも、絞りF4、ISO100の設定で光量を1/64に絞った内蔵フラッシュ使用です。
絞りを開放にしてしまうと、おそらくピントの合う範囲が狭くなりぼんやりしすぎるでしょう。
F8まで絞ってフラッシュを焚くと、背景が真っ暗になりすぎて、つぼみが人魂のようにぽっかり浮かぶ異様な映像になってしまったかも。
このF4という絞り設定は、特に狙ったわけではなかったのですが、結果的に良い選択だったのかもしれません。

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撮影に際しては、どうしても被写体の見え方に気を取られてアングルを決めてしまうために背景がよくないというケースがしばしばあります。
特に手持ち撮影では、主役の被写体のほうに意識が集中してしまうので、あとで映像を見てがっかりすることも。

背景はやはり重要ですね。

さて、この生物学標本園跡地、一般道から少し中に入ったところにあるので目立たないのですが、いろいろと季節ごとに花を見ることができてとてもよい雰囲気の場所です。